認知症患者さんのACPを考える4分割カンファレンス
病棟から倫理委員会のカンファレンスにかけました・・・
患者さんは、重度認知症で胸部の基礎疾患と”がん”と“るい痩”がすすんで、何度も入退院していました。今回の入院中も度々発熱し、酸素化が非常に悪くなるため、患者さんが住む間の見守り体制のない高齢者住宅に帰るのは難しいのではないか?と思われる事例で、このまま入院していた方が良いのでは?退院支援にスタッフもモヤモヤがある状態でした。
どんな話し合いなったでしょうか?
重度の認知症ですがお話しが好きな方でした。夫はすでに他界され、子供を亡くされた経験もあり、お人形を抱いて子供のようにかわいがっていました。若いころには客商売もしていたため、職員に話しかけられるのをとても楽しそうにしていました。
多職種で集まると、『暖かくして過ごすのが好き』『眠るように逝きたい』『賑やかな場所にいたい』と、バラバラにたくさんの職員に話されていた本人の思いが一つになり見えるようになりました。
成年後見制度の手続き中で後見人が決まるまで簡単に入居施設を変えることはできないのです。残り少ない人生の期間を大事に、ご本人の望むように過ごすには体制がやや十分でなくても慣れた環境に早くお返しして、少しでも賑やかな時間を過ごしていただけることは、やはりご本人のために良いことがわかってきました。
話し合いをして・・・
みんなで確認したご本人の思いをケアに活かし、電気毛布で暖かくしたり、食事も一番温かい場所でとってもらいました。食事も以前より食べられるようになり、退院することが出来ました。
別件で病棟看護師が住宅を訪問すると、窓の側の日当たりのよい暖かい場所で、穏やかな表情で過ごされている様子がわかりました。体調がすぐ崩れるのではないかと心配していましたが、もうすぐ退院して以下月が過ぎようとしています