「患者さんのための医療」~民医連の基本理念に立ち返って

~民医連道東ブロック薬剤師集団で当病院・原院長と懇談しました~

協立病院薬局 薬剤師の畠山です。

2019年8月27日に当院の院長・外科科長の原隆志先生をお迎えして、道東ブロック薬剤師集団との懇談を行いました。何を話したか?というと、釧路の医療や釧路協立病院の役割、外科機能休止についてのお話を中心に、先生の医師を志望した動機や、医師として働く場所になぜ民医連を選んだか?など普段聞く事のできないディープな内容もお話されました。

お話された事全てを今回記載する事ができませんので、一部かいつまんでお話しますと、今後の釧路協立病院の役割としては、当院の集会でもたびたびお話されている、釧路地域のハブ病院(ハブ空港にちなんで)を目指していること。ここでいうハブとは、例えば急性期医療を行う病院で手術を終えた患者さん、重症内科疾患で超急性期を過ぎた患者さん、在宅や診療所などから重症・重篤な状態で高度な治療が必要でない患者さんが、治療復帰までにかかるリハビリ期間に当院の医療機能を利用してもらう事などです。釧路協立病院はその急性期疾患から在宅までの中継拠点病院としての位置付けを担う役割があるとのお話しでした。

地域の方が急性期を終え復帰するまでリハビリが必要となった際に、安心して入院療養できる病院を目指しているという事。釧路の医療は一つの病院で完結できない、釧路全体が一体となって患者さんをみていく地域包括ケアシステムの構築が必要で、釧路協立病院はそういう点からも重要な位置にいるとのお話しでした。外科機能停止について原院長は、「断腸の思いであるが、最終的に目指すところは患者さんが適切な治療を受けられる事であり、必ずしも当院で手術をしなければいけないということではない。民医連の医師不足の影響もあるが、協立病院として外科機能を停止する事を後退ととらえるのではなく、自分達のできる事をやって行こう、何ができるのか、何が求められているのか、それによって新たな可能性がでてきている」と、今年に入職された内科医師の佐賀先生や澁谷先生を引き合いに出してお話しされていました。
病院薬局や保険薬局薬剤師に求める事についても質問させていただきました。原院長からは、「抗癌剤など新規医薬品が沢山世の中にでてきており、医療は薬物治療中心となる時代です。その薬物治療の専門家として薬剤師が専門性を発揮して頑張ってほしい」とお話されました。

 

また、保険薬局は医療機関として是非検診の受診勧奨をしてほしいとのお話がありました。癌の死亡で特に釧路市は検診率が低い事もあり、癌罹病数が北海道の中でも高い水準にあります。先生の資料から、2018年のがん死亡数予測では男性では①肺がん、②胃がん、③大腸がん、④肝臓がん、⑤膵臓がん、女性では①大腸がん、②肺がん、③膵臓がん、④胃がん、⑤乳がんがそれぞれトップ5にきます。早期発見・早期治療が必要になります。地域の患者さんの健康を守るための検診の啓蒙は非常に重要だと感じました。
原院長のお話の随所に患者さんのためにできる事を医療者がしっかり考える医療をしてほしいとお話しがありました。また、「患者さん中心の医療で、協立病院では院長の私が一番下、次に副院長、その次に各科科長‥、一番頂点にあるのは患者さんでなければならない。」とお話された事が非常に印象的でした。
民医連道東ブロックの薬剤師集団は、先代薬剤師が定年や退職をされて、現在は20~40代が中心の集団です。今回の原院長のお話は、知識や技術も重要ですが、何より患者さんに向き合い、患者さんと一緒に医療を考えていくという医療者としての姿勢を学ばせて頂いた懇談でした。
最後に原院長に「外科医をやっていてよかった事」についてのお話を伺いしましたところ、「自分が外科医になって患者さんの手術をして、患者さんが元気になって帰っていく姿をみられる事」と話され、「多くの手術をして、時にはうまくいかなかった事や手遅れだった事も多々あって、そういった葛藤もあったが、沢山の患者さんが元気に帰っていく姿をみて外科医をやっていて良かった。」とお話されていました。
最後は「医療は何のための医療か、患者さんのための医療です。」とお話され閉会しました。原院長の医師志望動機から今日の医療の事などのお話もあり、医療とは何か、患者さん中心の医療をしなければならないという民医連の基本理念に立ち返れた懇談だったと思いました。

我々薬剤師集団も薬物治療の専門家として、今回のお話を糧として民医連医療にどう貢献できるか、目の前で苦しんでいる患者さんに薬剤師としてどのようにアプローチするかを薬剤師集団で考えていきたいと思いました。そして、それが今回貴重な時間を割いてまで我々薬剤師にお話していただけた原院長への我々薬剤師の感謝の気持ちになると思っています。

原先生、本当にありがとうございました!


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