医薬品の「副作用救済制度」をご存知ですか?

<抗リウマチ薬の副作用で入院治療が必要となった患者さん>
今年の6月に釧路協立病院リウマチ外来で、関節リウマチとの診断がなされ、抗リウマチ薬が処方された患者さんが、7月末に発熱・咽頭痛・倦怠感を訴えて、当院を受診しました。
採血をしたところ、体の中で免疫を担当している白血球や好中球が極端に下がっていることが分かり、急遽入院治療が必要になりました。
処方された抗リウマチ薬の「発熱性好中球減少症」という副作用を疑って原因薬剤は中止し、発熱等に対して抗菌薬を、白血球・好中球減少に対して造血剤を使用したところ、順調に回復して8月初旬には退院することが出来ました。
さっそく病院薬剤師から制度について説明、申請をお勧めしたところ快諾してくださったため、申請書類を準備してお渡ししました(申請は本人が行います)。今は審査中ですが、認定されれば入院費用の全額および7月・8月と2ヶ月分の見舞金が給付されます。
ご本人は制度の存在自体を知らなかったとのことで、とても感謝してくださいました。
書類の準備など申請は一手間ではありますが、薬剤師の役割として、今後も対象になる患者さんには積極的に制度の利用をお勧めしていきたいと思います。

<副作用による公的支援制度について>
医薬品は正しく使えば素晴らしい効果があります。しかし、その反面、どうしても副作用がつきものです。もちろん薬を使わずに済めばそれに越したことはありませんが、病気の治療で使わざるを得ない薬を飲んでいるのにも関わらず、不幸にしてその薬で副作用が出てしまった場合、状況次第で公的な支援を受けられる制度があります。
正式名称は「医薬品副作用被害救済制度」ですが、通称「副作用救済制度」などと言われています。

<制度を利用するには>
医薬品には説明書(添付文章)に記載された正しい使い方があります。その正しい使い方をしているのにも関わらず、入院治療を必要とするほどの副作用が出てしまった場合、もしくは死亡を含む障害・後遺症の残るほどの副作用が出てしまった場合は、本人または家族等が申請することで治療に際して支払った自己負担額の全額、月ごとで計算される見舞金、条件次第で+αの金額が支給されます。
詳しい情報は以下の「独立行政法人 医薬品医療機器総合機構」のホームページをご参照ください。なお、抗がん剤など一部の薬は制度の対象にならないものもありますので、薬剤師にご相談下さい。

(薬剤師 田辺純一)