総院長よりメッセージ
道東勤医協釧路協立病院
総院長 鈴木頌
皆様に道東勤医協の紹介をさせていただく機会を得ましたことを、心より喜んでいます。
私、そして他の医師スタッフに共通するであろう心情を一言で言えば、それは、むかし歌われた「幸せの歌」の一節です。
「幸せは私の願い、あまい思いや夢でなく、いまのいまをより美しく、つらぬき通して生きること」
道東の医療体制はたいへんきびしい。毎年毎年、クシの歯が抜けるようにして医師がいなくなってゆきます。
それどころか、この数年はクシを入れるのが恐ろしくなるくらい、ゴソッと抜け落ちてゆきます。
道東地方は今や日本最大の医療過疎地となりました。
町立病院は次々と閉鎖され、患者さんは釧路へと押し寄せています。
その釧路でも救急を担っていた医師会病院が、医師不足から経営破たんし閉鎖に追い込まれました。
残された病院も、年毎にスタッフが減り、診療科の閉鎖が相次いでいます。
そんな中で患者さんの要求は切実です。医師の仕事も楽ではありません。
でも、徒労感はありません。
なぜなら、私たちはその要求に応えながら、「今日も働いたぞ」という充実感と、元気をもらえるからです。
私たちはただ道東の医療を守るだけではなく、ひとつの目標を持っています。
道東に、自らの力で後期研修が出来る病院を作り上げ、それを守り発展させることです。
設備の整った公的病院でもそれは可能でしょうが、私たちは自らの集団の手でそれを実現したいのです。
この小さな病院で外科や整形外科までふくめて診療体制を組むのは、あらゆる面から見てきわめて困難です。
救急・急性疾患から慢性疾患、三つの診療所、往診・在宅まで総合的に取り組むのは大変なことです。
しかしそれらを縦割りではなく、持ち場主義ではなく、密集陣形で取り組めば、不可能ではないと信じています。
密集陣形を作るには、医師一人ひとりと医療スタッフのあいだに相互信頼と友愛の精神が不可欠です。
そして「現場第一」をモットーとして、医師集団内で、あるいは職種を超えた相互乗り入れの構えが不可欠です。
それらの精神は、患者さんとの触れあいのなかで生まれるさまざまな感動がはぐくむものです。
私たちはその風土を瞳のように大事に守り育てようと思っています。
私たちの病院は100床あまりの小さな病院です。医師数もいまは10人ちょっとです。
身の丈にあまる医療を志しているから、経営も決して楽ではありません。
私たちの病院は、医療統計上の分類から言えばただの民間病院です。しかし志を持った医師と医療スタッフが支える病院です。
私立病院ではなく、「志立」病院です。
私たちの病院は、数千もの、豊かではないが、心ある方たちの拠金によって設立され、いまも支えられています。
だから文字通り「協立」病院なのです。私的病院ではなく素敵な病院です。
私たちは自らの責任として、この素敵な病院を守りぬきたいと思っています。


